2026/05/12 更新

失業保険はもらえる? 自分の受給資格を 3 ステップで判定する

失業保険(基本手当)を受給するには「雇用保険の被保険者だった」「必要な被保険者期間を満たす」「失業の状態にある」の 3 要件が必要。年齢・退職理由・雇用形態別に、自分が対象かを 30 秒で判定するフローを整理しました。

「自分は失業保険、そもそももらえるんだろうか」── 退職を考え始めた人がまず気になるのがここです。給与から雇用保険料が引かれていれば全員もらえる、というほど単純ではなく、人によっては「掛けてはいたが受給資格はない」と判定されることもあります。

ただ、判定軸は意外と少なくて、突き詰めると 3 つ しかありません。順番に当てはめれば 30 秒で結論が出ます。

ステップ 1 — 退職時点で雇用保険に入っていたか

最初の関門は、退職した時点で 雇用保険の被保険者だったかどうか です。給与明細に「雇用保険料」の天引きが載っていれば、ほぼ確実に加入していたと判断できます。1 ヶ月あたり数百円〜千円台の控除で、社会保険料の中では一番少額の項目です。

加入対象は、正社員はもちろん、契約社員・派遣・パート・アルバイトでも「週 20 時間以上 + 31 日以上の雇用見込み」を満たしていれば含まれます。シフトを削られて週 20 時間を切った時期がある人は、その間だけ被保険者期間から外れている可能性があるので、後述のステップ 2 で改めて確認してください。

一方、加入対象外になるのは公務員(雇用保険ではなく退職手当制度)、自営業・個人事業主(そもそも雇用関係がない)、業務委託・請負(労働者性なしと判定された場合)、週 20 時間未満や雇用見込み 31 日未満の短時間労働者です。役員も原則対象外ですが、取締役兼部長のような兼務役員で実態が労働者寄りなら、被保険者として扱われていることがあります。公務員・自営業者は別の救済制度があり、公務員と失業保険の関係個人事業主・フリーランスの記事にまとめています。

判断が難しいのは、業務委託で実態が雇用に近いケースや、3 ヶ月契約の有期雇用で更新を見込んでいたケース、兼務役員のケースなど。これらは管轄ハローワークの窓口で「自分は被保険者扱いか」を確認しておくと、後で離職票を見て「対象外でした」と知らされる事故が避けられます。

ステップ 2 — 必要な被保険者期間を満たしているか

次に確認するのが 被保険者期間 です。退職理由によって必要月数が変わります。

自己都合・定年(一般受給資格者)の場合は、離職日から遡って 2 年間に通算 12 ヶ月以上。会社都合(特定受給資格者)または特定理由離職者の場合は、1 年間に通算 6 ヶ月以上 に緩和されます。倒産・解雇・契約満了で短期間しか働けなかった人を救うための区分です。

落とし穴になるのが「1 ヶ月」のカウントルールで、雇用保険上の 1 ヶ月は単に「在籍した月」ではなく、賃金支払基礎日数が 11 日以上ある月(または賃金支払基礎時間が 80 時間以上ある月、令和 2 年 8 月以降の短時間労働者特例)に限定されます。月 10 日しか出勤していないパート勤務だと、その月はカウントされません。月 10 日 × 24 ヶ月勤続でも、被保険者期間としては 0 ヶ月という残酷な判定があり得ます。

複数の会社を渡り歩いた場合は、各社の被保険者期間を 通算 できます。ただし、過去に基本手当を受給したことがある人は、その受給以前の期間はリセットされて通算されません。これについては失業保険を一度もらうとどうなるかの記事で整理しています。

ステップ 3 — 失業の状態にあるか

3 つ目が、見落とされがちな 失業の状態 という要件です。

法令上の定義は「就業の意思と能力があるにもかかわらず、職に就くことができない状態」。働く気と働ける身体の両方がそろっていることが条件で、どちらかが欠けると基本手当はもらえません。

つまり、病気・けがで当面働けない、妊娠・出産・育児中で就労できない、親族の介護に専念している、昼間学生として通学している、家事に専念している、既に再就職先が決まっている、1 日 4 時間以上のアルバイトを継続している ── このあたりは「すぐ就職できる状態にない」と判断され、原則として受給対象から外れます。

ここで救済策があるのが 受給期間延長手続き です。病気・出産・育児・介護などで就職できない期間が 30 日以上続く見込みなら、本来 1 年の受給期間を最長 4 年まで延長できます。回復してから受給を再開する形になるので、診断書が手元にあるうちに早めに手続きしておくのがおすすめです。詳細は受給期間延長の手続き記事を参照してください。

30 秒判定フロー

3 つのステップを通しで並べると、こうなります。

受給資格はあるのに満額もらえないパターン

受給資格そのものはあっても、所定給付日数を満額消化できずに終わる人がいます。よくあるのは次の 3 つです。

認定日に求職活動実績が足りない — 4 週間に 1 度の認定日ごとに、求職活動実績 2 回以上を申告する必要があります。実績が足りないとその回の認定対象期間は不支給になり、給付日数だけが消化されずに残ります。

受給期間(離職日翌日から 1 年)を超過する — 基本手当を受給できる期間は離職日の翌日から原則 1 年間。給付制限や手続きの遅れで開始が遅れ、所定日数を消化しきれないまま 1 年が来ると、残日数があっても支給は打ち切られます。

受給途中で再就職する — 再就職した時点で基本手当の支給は終了します。ただし所定給付日数の 3 分の 1 以上を残して就職できれば 再就職手当 の対象になり、残日数の 60〜70% が一時金として支払われます。詳細は再就職手当の完全ガイドにまとめています。

年齢別の特殊ルール — 65 歳が一番の境目

65 歳未満の人は通常どおり基本手当の対象で、給付日数は 90〜330 日。

問題は 65 歳以上で離職するケースです。この場合は基本手当ではなく 高年齢求職者給付金 という別制度に切り替わり、一時金として一括支給されます。

被保険者期間給付日数
1 年未満30 日分
1 年以上50 日分

額としては基本手当より少ない代わりに、老齢年金との併給ができる という大きなメリットがあります。65 歳前後で退職時期を選べる人にとっては、64 歳での退職と 65 歳での退職で総受取額が逆転することもあり得ます。詳細は65 歳前後の退職判断記事で扱っています。

雇用形態別の対象判定

雇用形態対象/対象外主な要件
正社員対象通常の被保険者期間要件
契約社員対象31 日以上の雇用見込み + 週 20 時間以上
派遣社員対象同上。派遣切り時は会社都合扱いの可能性
パート対象同上。月 11 日以上の出勤が必要
アルバイト対象同上
業務委託原則対象外労働者性が認められれば例外あり
個人事業主対象外雇用関係なし
公務員対象外退職手当制度が代替

ケースで見る判定

ケース A — 35 歳・正社員・自己都合・5 年勤続 雇用保険加入あり、被保険者期間 60 ヶ月(≥ 12 ヶ月)、健康で就労意思あり。受給対象で、所定給付日数は 90 日。

ケース B — 28 歳・派遣社員・契約満了・8 ヶ月勤続 雇用保険加入あり、被保険者期間 8 ヶ月。自己都合だと 12 ヶ月に届かないが、契約満了は特定理由離職者として 6 ヶ月で資格が発生するため受給対象。

ケース C — 42 歳・正社員・出産退職・7 年勤続 被保険者期間は十分。ただし出産前後はステップ 3 の「失業状態」と認められない可能性がある。退職直後に受給期間延長を申請しておき、育児が落ち着いてから受給を始めるのが現実的な動き方。

ケース D — 30 歳・個人事業主・3 年経営後に廃業 そもそも雇用保険に加入していないので対象外。代わりに 求職者支援制度 を検討するルートになります。

自分のケースで試算する

ステップ 1 と 2 でクリアしたら、次に気になるのは「結局いくら、何日もらえるのか」のはずです。年齢・退職理由・被保険者期間・賃金を入れると、基本手当日額と所定給付日数、総受給見込み額がまとめて出ます。

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