計算方法

11分で読了 ・ 2026/05/05 更新

失業保険の金額はどう計算する?賃金日額×給付率×日数の3要素で出る

失業保険(基本手当)の金額は「賃金日額」「基本手当日額(給付率)」「所定給付日数」の3つで決まります。退職前6ヶ月の賃金から賃金日額を出し、年齢区分の給付率(50〜80%)を掛け、所定給付日数を掛けるだけ。具体例と早見表で計算方法を整理します。

「失業保険、結局いくらもらえるか」── 計算式そのものはシンプルです。3つの数字を順に出して、最後に掛け算するだけ。ところが、賃金日額の "賃金" には何が含まれるのか、給付率は年齢別にどう変わるのか、そのあたりで実際の金額が 同じ年収でも10〜20%変動するケースが出てきます。

この記事では、計算式を3要素に分解して、それぞれの調達方法と、引っかかりやすい論点を整理します。

全体像:3要素を順に出す

最終的な総受給額は、次の式で決まります。

総受給額 = 基本手当日額 × 所定給付日数

この基本手当日額が、さらに2要素に分解されます。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率

つまり、3要素を順に出していけば計算は完了します。

  1. 賃金日額 ← 退職前6ヶ月の賃金から出す
  2. 基本手当日額 ← 賃金日額に給付率を掛ける
  3. 所定給付日数 ← 年齢・被保険者期間・退職理由で決まる

順に見ていきます。

要素①:賃金日額の出し方

賃金日額の算定式は次のとおりです。

賃金日額 = 退職前6ヶ月の総支給額 ÷ 180

ここで「総支給額」が何を指すかを正確に押さえる必要があります。

含めるもの

  • 基本給
  • 月例の家族手当・住宅手当・役職手当
  • 通勤手当
  • 月例の残業代

除外するもの

  • 賞与(ボーナス)
  • 退職金
  • 結婚祝金などの臨時手当

「ボーナスを除いた額の半年分 ÷ 180」と覚えるのが実用的です。年収500万円・うち賞与100万円の方の場合、月額(500−100)÷ 12 ≈ 33.3万円。賃金日額は33.3万円 × 6 ÷ 180 = 11,111円となります。

「年収から逆算したら賃金日額が高いはず」と感じる方が多いのは、賞与が入っているケースです。賞与が年間4ヶ月分(年収の25%程度)出ている場合、賃金日額の算定基礎は実質的に 年収の75%相当 ÷ 12 ÷ 30 とほぼ等しくなります。

上限・下限(令和7年8月1日改定)

賃金日額には年齢区分ごとの上限・下限があります。

年齢区分上限額下限額
29歳以下14,510円3,014円
30〜44歳16,110円3,014円
45〜59歳17,740円3,014円
60〜64歳16,940円3,014円

上限を超える賃金日額の方は、年齢区分の上限額が適用されます。年収1,000万円超の方が、賃金日額算出だと17,740円(45〜59歳)で頭打ちになるのは、この上限の影響です。

要素②:給付率と基本手当日額

賃金日額が出たら、給付率を掛けて基本手当日額を出します。

給付率は 50〜80% の範囲で、賃金日額が低いほど高率になる累進設計です。年齢区分が60〜64歳の方のみ、給付率の下限が 45% まで下がります。

給付率の早見ゾーン(30〜59歳共通)

賃金日額給付率
5,340円未満80%(最高)
5,340〜13,140円80%から50%へ徐々に下がる
13,140円超50%(一律)

中間ゾーンでは、賃金日額が上がるほど給付率が少しずつ下がる仕組みです。「賃金日額がいくらだと、結局いくら出るのか」を直接見たい方は、下の表が早いです。

賃金日額ごとの支給額イメージ

賃金日額年齢基本手当日額
6,000円35歳4,647円
9,000円35歳5,933円
17,000円29歳7,255円(上限)
2,500円35歳2,411円(下限)

賃金日額が13,140円を超えると給付率は50%で固定。さらに年齢別の上限額(次表)に達すると、そこで頭打ちです。

基本手当日額の上限(令和7年8月1日改定)

年齢区分上限額
29歳以下7,255円
30〜44歳8,055円
45〜59歳8,870円
60〜64歳7,623円

下限は全区分共通で 2,411円 です。

端数の扱いは 1円未満切り捨て。「6,750.4円」の場合は6,750円になります。

要素③:所定給付日数

総受給額の最後の要素は、何日分受け取れるかです。所定給付日数は退職理由・年齢・被保険者期間の3軸で決まります。

一般受給資格者(自己都合・定年)

被保険者期間所定給付日数
1年未満受給資格なし
1〜10年未満90日
10〜20年未満120日
20年以上150日

被保険者期間1年未満は、原則として受給資格そのものが発生しません(退職理由が会社都合・特定理由離職者であれば6ヶ月以上で資格発生)。

特定受給資格者・特定理由離職者(会社都合等)

年齢区分1年未満1〜5年未満5〜10年未満10〜20年未満
30歳未満90日90日120日180日
30〜35歳未満120日180日210日240日
35〜45歳未満150日240日270日270日
45〜60歳未満180日240日270日330日
60〜65歳未満150日180日210日240日

最長は45〜60歳未満・10〜20年未満の 330日。同じ年齢でも、自己都合(150日)と会社都合(330日)で2倍以上の差が生まれます。

計算例:35歳・月収30万円・自己都合・5年勤続

実際の数値で組み立ててみます。

項目
月額賃金(賞与除く)300,000円
賃金日額10,000円(30万円 × 6 ÷ 180)
給付率67.5%(賃金日額が中間ゾーン)
基本手当日額6,750円(10,000円 × 67.5%)
所定給付日数90日(自己都合・5年勤続)
総受給額607,500円(6,750円 × 90日)

90日分を全期間受給した場合の総額です。実際には自己都合の場合、待期7日 + 給付制限1ヶ月(令和7年4月以降)を経て初回支給開始となるため、最終支給までは半年程度を要します。

計算例:50歳・月収50万円・会社都合・18年勤続

会社都合で給付日数が最長330日になるケースです。

項目
月額賃金(賞与除く)500,000円
賃金日額16,667円(50万円 × 6 ÷ 180)
適用される賃金日額17,740円が上限だが今回は17,740円未満 → 16,667円
給付率50%(13,140円超で一律50%)
基本手当日額(計算上)8,333円
適用される基本手当日額8,870円が上限 → 上限8,333円 < 上限8,870円なので8,333円
所定給付日数330日(45〜60歳未満・10〜20年未満・会社都合)
総受給額約2,749,890円(8,333円 × 330日)

実際の支給では、賃金日額の算定基礎の取り方や残業代の扱いで ±3% 程度の誤差が出る可能性があります。

注意点:「総支給額の半分」ではない

「失業保険は給与の半分が出る」という説明をよく目にしますが、正確ではありません。

  • 算定基礎は 賃金(賞与除く) の半年分。年収比だと給与30〜40%相当
  • 給付率は所得が低いほど高い。月収20万円の方は実質給付率80%、月収50万円の方は実質50%
  • 上限額の影響で、高所得の方は給付率が見かけ上下がる

「年収の半分」の感覚で家計設計すると、実際の支給額が下回り、家計が厳しくなる事例があります。賃金日額の正確な算定が、家計シミュレーションの起点となります。

あなたの場合、いくらになるか

退職前6ヶ月の月別賃金、年齢、被保険者期間、退職理由──この4つを入れれば、シミュレーターが上記の計算をすべて実行します。

シミュレーターで自分のケースを計算する →

出典・参考


最終更新: 2026年5月5日 改訂履歴: 2026/05/05 — 令和7年8月賃金日額改定を反映 / 2026/04/15 — 初版公開

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