2026/05/12 更新

再就職手当はいくらもらえる?60 日以内に決めて 70% バックは本当か

再就職手当はいくらもらえるのか。基本手当日額 × 残日数 × 70%(または 60%)で計算され、60 日以内に再就職できれば残り給付の最大 7 割が一時金として支給されます。計算式・支給要件・申請期限・取りこぼし例を具体的に解説します。

失業保険を受けながら次の仕事を探していて、3 ヶ月で内定が出た ── このときに本人が一番見落としやすいのが再就職手当です。

「もらえたはずの残り給付」の 最大 70% が一時金で一括支給される制度で、金額にして数十万円規模。なのに、再就職が決まった安堵で申請自体を忘れる人が一定数います。要件と期限を先に押さえれば、取りこぼしはほぼ防げます。

なぜ「70%」と「60%」の 2 段階なのか

支給率の境目は、所定給付日数の 3 分の 2 と 3 分の 1 です。

  • 残日数が所定給付日数の 3 分の 2 以上 → 給付率 70%
  • 残日数が 3 分の 1 以上 3 分の 2 未満 → 給付率 60%
  • 残日数が 3 分の 1 未満 → 支給対象外

厚労省の説明では「早期再就職のインセンティブ」が制度の狙いだとされています。給付日数を残して再就職してくれれば、その分の基本手当を国は払わずに済み、本人も早く稼ぎ始められる。両者にとって合理的、という設計です。

要するに「再就職した人へのご褒美」というより、「早く決めた人ほどトクする仕組み」。70% という高めの支給率は、その意図そのままを反映しています。

60 日以内に再就職した場合、いくら残るのか

具体例で見てみます。35 歳・自己都合・5 年勤続・月収 30 万円の A さんを想定します。

項目
賃金日額10,000 円(30 万円 × 6 ÷ 180)
基本手当日額6,750 円(年齢区分の給付率を適用後)
所定給付日数90 日
受給開始日退職から約 2 ヶ月後(待期 7 日 + 給付制限 1 ヶ月 + 認定日)

この A さんが、受給開始から 30 日経った時点(残日数 60 日)で再就職を決めたとします。残り 60 日は所定給付日数 90 日の 3 分の 2 を超えているので、給付率は 70% が適用されます。

再就職手当 = 6,750 円 × 60 日 × 70% = 283,500 円

すでに受給していた 30 日分(202,500 円)と合わせて、A さんの受給合計は 486,000 円。一方、再就職手当を受給せず全期間(90 日)の基本手当を受給した場合は、6,750 円 × 90 日 = 607,500 円。差額は約 12 万円です。

「全期間受給したほうが多い」と見えるかもしれません。が、見落としやすいのが再就職翌月から給与が入る点です。A さんが月 30 万円の仕事に就けば 3 ヶ月で 90 万円。失業保険だけで暮らした 3 ヶ月の 60 万円との差が 30 万円あり、これに一時金 28 万円を足すと、早期再就職のほうが 50 万円以上トクになる計算です。

取りこぼしポイント① 採用日と待期 7 日のずれ

一番多い失敗例から紹介します。

求職申込み(受給資格決定)をしてからの最初の 7 日間は「待期」と呼ばれる期間で、この間は失業状態にあることが必要です。待期が満了する前に就職した場合、再就職手当の支給対象にはなりません。

たとえば 6 月 15 日に求職申込みをした場合、6 月 16 日から 22 日までが待期期間。6 月 22 日以前に採用日が設定されると、原則として支給対象外になります。

「6 月 22 日入社」と「6 月 23 日入社」で、わずか 1 日の差で一時金約 28 万円の受給可否が変わる── これは珍しい事例ではありません。内定先と入社日を相談する余地があるなら、待期 7 日が満了した翌日以降を入社日として提案するのが安全です。

取りこぼしポイント② 給付制限期間中はハローワーク経由でないと NG

自己都合退職には 1 ヶ月の給付制限があります(2025 年 4 月の改正で 3 ヶ月から 1 ヶ月に短縮されました)。この期間中も再就職活動はできますし、就職が決まれば再就職手当の対象になります。ただしこの期間に固有の条件が一つ加わります。

求職申込みから待期満了後 1 ヶ月の期間内は、ハローワーク、または許可・届出のある職業紹介事業者の紹介によって就職したこと

つまり給付制限期間中の最初の 1 ヶ月に内定する場合、ハローワーク経由か許可業者経由でなければ対象外。知人からの紹介や、自分で求人サイト経由で応募して内定を取ったケースは、この期間中だと再就職手当の対象になりません。

教育訓練給付の対象講座を受講して給付制限が解除された場合も、このハローワーク経由要件は別途残るので注意してください。

取りこぼしポイント③ 1 年超の雇用が確実か

要件のひとつに「1 年を超えて勤務することが確実であること」があります。判定は雇用契約書をもとに行われます。

  • 期間の定めなし(正社員等)→ 原則として要件充足
  • 1 年以上の有期契約で更新あり → 原則として要件充足
  • 1 年以下の有期契約 → 原則として対象外(更新が確実とハローワークが認めた場合のみ例外)
  • 試用期間で解雇の可能性が高い → ケースごとの判断

派遣社員のケースは特に判断が難しく、契約期間と更新条件によっては「1 年超の雇用が確実」と認められないことがあります。雇用契約書を持参してハローワークの窓口で確認するのが確実です。

取りこぼしポイント④ 離職前の事業主・グループ会社への再就職

「離職前の事業主に再び就職した場合」「資本・人事・取引関係で密接な事業主に就職した場合」は対象外です。脱法的な利用を防ぐための規定で、離職前の事業主のグループ会社や子会社に再就職した場合に該当する可能性があります。

グループ会社の多い業界(商社・出版・メディアなど)の人は特に注意。雇用契約書の事業主名と過去の職歴の事業主名を見比べておきましょう。

取りこぼしポイント⑤ 内定が受給資格決定より前にあったか

これも見落としやすい論点です。

再就職手当は、「受給資格決定(求職申込み)前から内定していた事業主」への就職には支給されません。

具体的には次の通り。

  • 退職前から再就職先が決まっており、退職後にハローワークで求職申込みをした場合 → 対象外
  • 退職後にハローワークで求職申込みをして、その後の求職活動で内定を得た場合 → 対象

「先にハローワークで求職申込みをしてから本格的に求職活動を始める」場合と、「退職前から内定がある状態で手続きする」場合では、受給可否が逆転します。順番を間違えないことが重要です。

取りこぼしポイント⑥ 申請期限は 1 ヶ月

最後は、もっとも単純で、もっとも多い失敗です。

申請期限は、就職した日の翌日から 1 ヶ月以内

入社後に新しい業務に慣れることで頭がいっぱいになり、気づいたら 2 ヶ月経っていた、というケースは本当に多いです。期限を過ぎたら一切支給されません。

入社日が決まったその日のうちに、スマホのカレンダーで「+25 日後」のリマインダーを設定しておきます。ハローワークの窓口は混むことがありますし、必要書類を揃える時間も要るので、25 日目あたりから動き始めるのがちょうどよいタイミングです。

申請に必要な書類は次の 4 点です。

  • 再就職手当支給申請書(ハローワークで配布、または公式サイトからダウンロード)
  • 採用証明書(再就職先に記入を依頼。ハローワーク様式)
  • 受給資格者証(ハローワークが交付する書面)
  • 雇用契約書のコピー

採用証明書は再就職先の人事に依頼する必要があるので、入社初週の顔合わせのタイミングで「ハローワーク様式の採用証明書を書いてもらいたい」と伝えておくと、後の手続きが一気に楽になります。

6 ヶ月勤務後に追加でもらえる「就業促進定着手当」

再就職手当を受けたあと、再就職先で 6 ヶ月以上勤務し、かつ 6 ヶ月の賃金が離職前より下がっている場合、追加で 就業促進定着手当 がもらえます。

計算式は少し複雑ですが、要点は「賃金が下がった分の補填を、最大で残り給付日数の 40%(再就職手当 70% を受けた場合)まで支給する」という仕組みです。

転職に伴う年収低下は珍しい話ではないので、再就職手当を受けた人は、半年経過後に再就職先から賃金台帳・出勤簿・労働者名簿のコピーを取り寄せ、ハローワークに持参すると追加で受給できる可能性があります。

あなたの場合、いくらになるか

再就職手当の金額は、年齢・賃金・退職理由・被保険者期間で大きく変わります。シミュレーターでは年齢・退職理由・加入年数・賃金を入力すると、基本手当日額と所定給付日数が試算できます。残日数 × 基本手当日額 × 70%(または 60%)で再就職手当の概算が出せるので、入社日の判断材料として使えます。

シミュレーターで基本手当日額を試算する →

出典・参考

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