「無事に転職できたと思ったら、入って 3 ヶ月でやっぱり違った」── そう言って戻ってくる人は珍しくありません。試用期間中に職場の空気が合わなかった、聞いていた業務と実態がずれていた、体調を崩した。理由はそれぞれですが、共通しているのは「失業保険、もう一回もらえるんだろうか」という不安です。
結論から言うと、もらえるケースが多いです。前職で再就職手当を受け取っていた場合でも、前職の残日数の方を取り戻す という救済枠が用意されていて、新しい職場での被保険者期間が半年に満たなくても支給対象になります。ただし「受給期間 1 年」の壁だけは絶対に動かないので、退職したらすぐにハローワークへ行くのが肝心です。
再離職パターンの 3 区分
再受給がどう動くかは、前職を辞めたときに失業保険をどこまで受け取ったかで分かれます。大きく 3 パターンあります。
パターン①:再就職手当を受け取った後の早期離職 — 一時金として受け取った時点で被保険者期間はリセットされます。原則として新しい職場で 6 ヶ月以上の加入が必要ですが、後述する救済枠が使えます。
パターン②:基本手当を受給し終えた、または途中まで受給した後の早期離職 — こちらも被保険者期間はリセット済み。残日数の救済対象です。
パターン③:前職で受給せずに転職して、すぐ離職 — このパターンは被保険者期間が通算され続けるので、そもそも救済枠を持ち出さなくても通常の手続きで申請できます。
自分がどれに当てはまるかが分かると、ハローワークでの会話もスムーズになります。
再受給の救済枠
救済の仕組み
受給期間(離職日翌日から 1 年)以内であれば、前職の残日数を再支給可能 ── これが救済の核です。再就職手当を受け取った人は被保険者期間が一旦リセットされますが、所定給付日数のうち消化しきれていない分は「残っている扱い」で計算してもらえます。
残日数の出し方は次のとおりです。
残日数 = 前職の所定給付日数 − 受給した日数
− 再就職手当の対象日数(70% または 60% が一時金として支給済み)
計算例
30 歳・前職 5 年勤続・自己都合・所定給付日数 90 日の Q さんの場合で見てみます。
待期 7 日と給付制限 1 ヶ月を経て、残日数 60 日の時点で再就職が決まり、再就職手当を受給。再就職手当の支給対象は 60 日 × 70% = 42 日分なので、計算上の残日数は 60 − 42 = 18 日 となります。この 18 日分が、再就職後 6 ヶ月以内に離職した場合の再支給対象です。
「再就職手当をもらった瞬間に過去の権利が全部消える」と思っている人は多いのですが、実際は一部が温存されている、というのがこの救済枠のポイントです。
救済を使うための条件
救済枠は誰でも使えるわけではなく、要件が 3 つあります。
① 受給期間内であること — 前職の離職日翌日から 1 年以内であることが大前提。ここを過ぎると残日数があっても権利は消えます。
② 前職の所定給付日数の 3 分の 1 以上を残して再就職していたこと(再就職手当を受給した場合) — 再就職手当を受け取った時点で残日数が 3 分の 1 未満だった人は、救済の対象外です。
③ ハローワークで求職申込みと受給資格決定を受け直すこと — 前職の受給資格者証を持参して、改めて手続きをします。受給資格者証は再発行になります。
試用期間中の退職
試用期間中の退職は、雇用保険上は通常の退職と同じ扱いです。試用期間でも雇用保険に加入していれば、被保険者期間としてカウントされ、通常どおりの手続きで再受給できます。
ただし離職理由の付き方で扱いが変わる可能性があります。本採用拒否のような「会社側の判断で雇用が終わった」ケースは、実質的に会社都合と評価されることがあります。また、業務との不適合が客観的に確認できる場合は 特定理由離職者 として認定される余地もあり、この場合は給付制限なしで支給開始できます。
離職票の離職理由欄をどう書かれるかが分かれ目になるので、退職の話し合いの段階で会社側にきちんと確認しておくのが安全です。
再受給の手続きの流れ
新しい職場を退職してから再受給開始までの動きは、おおむね次のような順番になります。
新たな会社を退職して離職票を受け取ったら、前職の受給資格者証を持って住所地のハローワークへ。窓口で「前職の残日数の支給を申請したい」と伝えると、新しい離職票と合わせて受給資格を再決定してくれます。
ここから先は通常の流れと同じで、まず 待期 7 日 が新たに必要。前職で給付制限 1 ヶ月をすでに消化していれば、待期明けからすぐ支給開始です。給付制限を消化しきっていない自己都合のケースは、残りの制限期間をここで消化することになります。
あとは初回の認定日に出頭して、求職活動実績 2 回以上を申告すれば残日数の振込が始まります。
短期離職を繰り返すとペナルティが重くなる
5 年以内に 2 回以上の自己都合退職を経験すると、給付制限が 3 ヶ月 に戻ります(通常は 2025 年 4 月改正以降 1 ヶ月)。短期離職 → 再受給 → 再離職 → 再受給というサイクルを繰り返すほど、給付制限期間が長引いて生活が苦しくなる構造です。
「合わなかったらすぐ辞めれば受給し直せるからいいや」とは、制度設計上ならない仕組みになっています。
再就職手当の追加受給はできない
過去 3 年以内 に再就職手当を受け取ったことがある場合は、新たな再就職手当の対象外です。残日数の救済とは別ルールで、再就職手当そのものは 3 年に 1 回までという制限がかかります。
あなたのケースで再受給の可能性を確認
前職の受給状況、再就職した時期、再離職時期を入れると、再受給可能な日数と総額の目安が出せます。