全体ガイド

16分で読了 ・ 2026/05/06 更新

失業保険って結局なに?もらい方を最初から最後まで通しで読める全体ガイド

失業保険(雇用保険の基本手当)とは何か、誰がもらえるのか、いつ・いくら・何日受け取れるのか。退職する前から最終支給までの全プロセスを、12のステップで通しで整理しました。読み終えれば自分のケースの全体像が掴めます。

「失業保険」という言葉は耳にするものの、自分の場合はもらえるのか、いくら・いつから・何ヶ月受け取れるのか── 退職を考え始めた段階で、この全体像を一度に把握できる場所はそう多くありません。

この記事では、退職を検討する段階から最終支給までを 12ステップ で通しで解説します。読み終えれば、ご自身のケースで「次に何をすればよいか」が明確になります。

ステップ1: 「失業保険」という制度を正確に押さえる

「失業保険」は通称で、正式名称は 雇用保険の基本手当 です。よく似た言葉が複数あり、混乱しやすいので最初に整理します。

通称・俗称正式名称制度
失業保険雇用保険の基本手当同じ
失業手当雇用保険の基本手当同じ
失業給付金雇用保険の失業等給付(基本手当を含む総称)包括概念
雇用保険雇用保険制度全体包括概念

毎月の給与から「雇用保険料」が天引きされていた方が、離職後の求職活動中に基本手当を受け取れる── これが制度の核です。

何のためにある制度か

退職後の生活費を一定期間補填し、本人がじっくり次の職を探せるようにする── これが立法目的です。「短期間で焦って妥協した再就職をすると、結局すぐ離職して雇用が不安定化する」という政策課題への対応として整備されました。

ステップ2: 自分が受給対象かを確認する

受給対象になるには、次の3つを満たす必要があります。

  1. 雇用保険の被保険者であったこと(雇用保険料を払っていた)
  2. 必要な被保険者期間を満たしていること
  3. 失業の状態にあること(働ける状態 + 求職活動の意思)

被保険者期間の要件

退職理由必要期間
自己都合・定年など離職前2年間に通算12ヶ月以上
会社都合(特定受給資格者)離職前1年間に通算6ヶ月以上
特定理由離職者離職前1年間に通算6ヶ月以上

「12ヶ月」とは、賃金支払基礎日数が 11日以上 もしくは 賃金支払基礎時間 80時間以上 の月のことです。

詳しくは受給資格を3ステップで判定する記事で解説しています。

受給対象外のケース

  • 離職前に被保険者期間が足りない方
  • 公務員(雇用保険の対象外。退職手当が代替制度)
  • 自営業・個人事業主の本業(雇用関係がないため)
  • 65歳以上で離職した方(高年齢求職者給付金という別制度)

ステップ3: 退職前にやっておくこと

退職時期がご自身の選択で動かせる場合、次のポイントを意識すると総受給額が変わります。

被保険者期間の境目を意識する

被保険者期間自己都合会社都合(45〜59歳)
9年11ヶ月90日270日
10年0ヶ月120日330日
19年11ヶ月120日330日
20年0ヶ月150日330日

たった1ヶ月の差で給付日数が 30〜60日 変わります。会社との合意があれば、退職時期を1ヶ月後ろ倒しするだけで 約20万円の差 が生まれることがあります。

残業代が多い月を算定基礎期間に含める

賃金日額は退職前6ヶ月の総支給額の平均で算出されます。残業代が多い時期に退職時期を合わせると、賃金日額が上がります。

必要書類を会社に確認

退職時に会社からもらう書類は次の3点です。

  • 離職票-1(雇用保険被保険者離職票)
  • 離職票-2(離職理由・賃金額の記載あり)
  • 雇用保険被保険者証

通常2週間以内に郵送されますが、遅延する場合があります。退職前に「いつ送付されるか」を確認しておきましょう。

ステップ4: ハローワークで求職申込み

離職票を受け取ったら、ご自身の住所地を管轄するハローワークで 求職申込み(受給資格決定) を行います。

必要なもの

  • 離職票-1, 離職票-2
  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
  • 印鑑(認印で可、シャチハタ不可)
  • 写真2枚(縦3.0cm × 横2.5cm、3ヶ月以内撮影)
  • 預金通帳またはキャッシュカード(振込先指定用)

写真は2024年以降、マイナンバーカード提示で 不要 となるケースが増えています。事前にハローワークの公式サイトで最新情報を確認することを推奨します。

求職申込み後の流れ

  1. 受給資格決定 → 受給資格者証の発行
  2. 雇用保険受給説明会への参加(後日指定される)
  3. 待期7日間
  4. 給付制限期間(自己都合は1ヶ月、会社都合は0ヶ月)
  5. 認定日ごとに失業認定 → 基本手当の振込

ステップ5: 待期7日間の意味

求職申込みの翌日から 7日間が待期期間 です。この間は失業の状態にあることを確認するための期間で、1日でもアルバイトをすると待期が翌日以降にずれ込みます

詳細は待期7日って何?記事で解説しています。

ステップ6: 給付制限期間(自己都合のみ)

自己都合退職の方は、待期7日後に 1ヶ月の給付制限期間 があります(2025年4月改正以降)。改正前は3ヶ月でした。

給付制限を0ヶ月にする方法

  1. 教育訓練給付の対象講座を受講開始: 待期満了の前後に対象講座を受講開始すれば給付制限が解除
  2. 正当な理由のある自己都合: 通勤困難・配偶者転勤・介護等で「特定理由離職者」と認定された場合

詳細は給付制限1ヶ月化の記事で扱っています。

ステップ7: いくらもらえるかを計算する

総受給額は次の式で決まります。

総受給額 = 基本手当日額 × 所定給付日数
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)
賃金日額 = 退職前6ヶ月の総支給額 ÷ 180

計算例:30歳・月収28万円・自己都合・5年勤続

項目
賃金日額9,333円(28万円 × 6 ÷ 180)
給付率約66.5%
基本手当日額6,205円
所定給付日数90日
総受給額約558,450円

詳しくは計算方法の解説記事を参照してください。

ステップ8: 何日もらえるかを確認する

所定給付日数は退職理由・年齢・被保険者期間で決まります。

自己都合・定年(一般受給資格者)

被保険者期間所定給付日数
1〜10年未満90日
10〜20年未満120日
20年以上150日

会社都合・特定理由離職者

最長 330日(45〜60歳未満・10〜20年未満)。詳細な早見表は給付日数の完全早見表で確認してください。

ステップ9: 認定日と求職活動実績

支給期間中、4週間に1度の 失業認定日 にハローワークへ出頭し、その間の状況を申告します。

  • 求職活動実績 2回以上 の申告(応募・面接・職業相談・セミナー受講等)
  • 失業認定申告書の提出
  • 受給資格者証への確認印

実績が不足するとその認定対象期間の基本手当は不支給となります。詳細は求職活動実績の作り方を参照してください。

ステップ10: 認定日から振込までのスケジュール

失業認定が完了すると、概ね 3〜5営業日後 に指定口座に振り込まれます。初回振込は通常、認定日数 + 求職申込みからの累積日数で決まる「初回支給日数」分のみとなり、満額より少なくなる傾向があります。

詳細は認定日から振込までの記事で解説しています。

ステップ11: 受給期間中にバイトしていいか

結論としては「申告すれば可能」ですが、時間と収入で扱いが3パターンに分岐します。

パターン条件結果
減額なし1日4時間未満かつ収入1,391円以下満額支給
一部減額1日4時間未満かつ収入1,391円超計算式で減額
支給停止1日4時間以上 or 週20時間以上の継続その日不支給 or 受給終了

詳細はバイトと受給の両立ルールで扱っています。

ステップ12: 早期再就職した場合の再就職手当

支給日数を3分の1以上残して再就職した場合、残日数の 70%(または60%) が一時金として支給されます。

支給残日数支給率
所定給付日数の2/3以上70%
1/3以上2/3未満60%
1/3未満対象外

詳しくは再就職手当の完全ガイドで解説しています。

まとめ:12ステップの俯瞰

退職前 ステップ1-3 → 制度理解・退職時期の調整
↓
ハローワーク ステップ4 → 求職申込み・受給資格決定
↓
待期 ステップ5 → 7日間の失業状態確認
↓
給付制限 ステップ6 → 自己都合は1ヶ月(教育訓練で0ヶ月化可能)
↓
受給期間中 ステップ7-11 → 4週ごとの認定・必要なら部分バイト
↓
最終 ステップ12 → 満期受給 or 再就職手当

退職から最終支給まで、自己都合で 約4〜6ヶ月、会社都合で 約2〜10ヶ月(給付日数による)のレンジです。

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出典・参考


最終更新: 2026年5月6日 改訂履歴: 2026/04/01 — 初版公開 / 2026/05/06 — 令和7年8月改定反映

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