給付制限

10分で読了 ・ 2026/05/05 更新

給付制限はなぜ1ヶ月になった?2025年改正と教育訓練で0ヶ月にする方法

自己都合退職の給付制限期間が2025年4月から3ヶ月→1ヶ月に短縮。改正の背景と、教育訓練給付の対象講座を受講して給付制限を0ヶ月にする方法、5年以内に2回以上の自己都合で3ヶ月に戻る例外条件を整理します。

「失業保険は3ヶ月待ち」── このフレーズは、もはや古い情報です。2025年4月の改正で、自己都合退職の給付制限は3ヶ月から1ヶ月に短縮されました。

ただし、改正後も「給付制限なし」と「3ヶ月制限」の2種類が条件付きで残っています。1ヶ月か、0ヶ月か、3ヶ月か──ご自身がどの区分に該当するかで、受給開始日が60日以上ずれることがあります。

この記事では、改正後の3区分を整理し、給付制限を最短化する具体的なルートを解説します。

なぜ「1ヶ月」になったのか

改正前は、自己都合退職の給付制限期間は3ヶ月でした。これが2025年4月から1ヶ月に短縮された背景には、3つの問題意識があります。

問題①:給付制限が長すぎて「とりあえず再就職」が増えていた

3ヶ月の無収入期間に耐えられず、本人の希望と合わない職に妥協して就職する事例が一定数あったとされています。結果として早期離職→雇用不安定化のループに陥り、雇用保険の総支給額がかえって増える、という非効率が指摘されていました。

問題②:労働力確保の観点

少子化と労働人口減少が進む中、本人がじっくり次の職を選ぶ環境を整えることが、長期的な労働市場の質を高めるとの判断です。

問題③:諸外国との比較

OECD諸国の中でも、日本の給付制限3ヶ月は長い部類に入っていました。給付制限のない国(オーストラリア・ニュージーランド等)や1〜2週間の国(ドイツ等)と比較し、改正は国際水準への歩み寄りの一環とも言えます。

「自己都合の給付制限を見直すことで、労働者が早期に再就職するインセンティブを保ちつつ、本人の選択肢を確保することを目的とする」(厚生労働省・改正趣旨より要約)

改正後の3区分

改正後、給付制限期間は次の3パターンに分かれています。

パターン①:給付制限なし(0ヶ月)

該当するケースは2種類あります。

a. 退職理由が会社都合・特定理由離職者

倒産・解雇・退職勧奨・契約満了・正当な理由のある自己都合(病気・介護・配偶者転勤等)に該当する方は、待期7日経過後すぐに支給対象期間に入ります。

b. 教育訓練給付の対象講座を受講

自己都合退職でも、待期7日の満了前後に教育訓練給付の対象講座 を受講開始した場合、給付制限が0ヶ月に解除されます。詳細は次節で解説します。

パターン②:給付制限1ヶ月(改正後の原則)

通常の自己都合退職に該当する方は、このパターンです。

  • 待期7日 + 給付制限1ヶ月 = 計37日後に支給対象期間が始まる
  • 認定日のスケジュール上、初回振込は退職から約2ヶ月後

パターン③:給付制限3ヶ月(再離職者)

過去5年以内に 2回以上 の自己都合退職を経験した方は、給付制限が3ヶ月に戻ります。雇用保険法第33条第1項ただし書きの規定です。

「短期間で複数回離職する方には、再就職促進の観点からより長い給付制限を設ける」という設計です。3回目以降の自己都合退職時には注意が必要です。

教育訓練給付で給付制限を0ヶ月にする手順

最も実務的な選択肢が、教育訓練給付の対象講座を活用するルートです。

ステップ1:対象講座を選ぶ

厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で、お住まいの地域から対象講座を検索できます。給付制限解除の対象となる主な分野は次のとおりです。

  • IT系(プログラミング・データサイエンス・Webデザイン)
  • 簿記・会計・税理士・社労士
  • 宅地建物取引士・FP
  • 看護・介護・保育
  • 語学(TOEIC対策・通訳)

教育訓練給付には「一般」「特定一般」「専門実践」の3区分があり、給付率と最大給付額が異なります。給付制限解除の効果はどの区分でも得られますが、自己負担額と給付額のバランスは要確認です。

ステップ2:受講開始のタイミング

ここが最も重要です。

待期満了後、給付制限期間中に教育訓練給付の対象講座を 受講開始 していること

つまり、ハローワークでの求職申込みから1ヶ月後(給付制限明け)までに受講を始める必要があります。

実務上は、求職申込み前から講座申込みを準備し、受講料を払い込んでおく方が安全です。「ハローワークで受給資格決定 → その日のうちに講座受講開始」のスケジュールが理想です。

ステップ3:受講証明書の提出

受講開始後、講座実施機関から受講証明書を入手し、ハローワークに提出します。これにより給付制限の解除が確定し、待期7日経過後すぐに支給対象期間が始まります。

注意:受講料の初期持ち出し

教育訓練給付は、受講修了後に給付率(20〜70%)に応じて還付される後払い方式です。受講料が30万円の講座であれば、初期持ち出しは30万円。給付制限を解除する経済的メリットと、初期持ち出し負担を比較する必要があります。

注意:給付制限解除と他の手続きの関係

教育訓練給付で給付制限を解除した場合でも、他の手続きの一部は別途残ります。

注意①:再就職手当のハローワーク経由要件

給付制限期間中の再就職で再就職手当を受給する場合、待期満了後1ヶ月の期間は ハローワーク経由または許可業者経由の紹介 が必要です。給付制限が0ヶ月に解除されても、この1ヶ月の期間自体は残ります(求職申込みから1ヶ月)。

注意②:認定日と求職活動実績

給付制限が0ヶ月になっても、認定日ごとの求職活動実績2回以上の申告は必要です。教育訓練給付の対象講座の受講そのものは「求職活動実績」とは別カウントですので、求職活動実績は別途用意することになります。

改正前後の比較表

最後に、改正前と改正後の違いを整理します。

項目改正前(2025年3月まで)改正後(2025年4月以降)
自己都合の給付制限3ヶ月1ヶ月
5年内2回以上の自己都合3ヶ月3ヶ月
教育訓練給付による解除制度あり(解除可)制度継続(解除可)
会社都合・特定理由離職者0ヶ月0ヶ月
重大な責による懲戒解雇3ヶ月3ヶ月

改正のインパクトは「通常の自己都合退職」の区分に集中しており、それ以外の区分は変更ありません。

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出典・参考


最終更新: 2026年5月5日 改訂履歴: 2026/04/19 — 初版公開

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