2026/05/12 更新

給付制限はなぜ1ヶ月になった?2025年改正と教育訓練で0ヶ月にする方法

自己都合退職の給付制限期間が2025年4月から3ヶ月→1ヶ月に短縮。改正の背景と、教育訓練給付の対象講座を受講して給付制限を0ヶ月にする方法、5年以内に2回以上の自己都合で3ヶ月に戻る例外条件を整理します。

「失業保険は 3 ヶ月待ち」── 退職を考えるときに頭に浮かぶこのフレーズ、もう古い情報です。2025 年 4 月の改正で、自己都合退職の給付制限は 3 ヶ月から 1 ヶ月に短縮されました。2 ヶ月分早く生活費が入り始める、というのは想像以上に大きな差です。

ただし「全員が一律 1 ヶ月になった」わけではなく、改正後も「0 ヶ月」「1 ヶ月」「3 ヶ月」の 3 区分が条件付きで残っています。自分がどこに当てはまるかで、最初の振込日が 60 日以上ずれる可能性があります。この記事では改正後の 3 区分を整理した上で、教育訓練給付を使って自己都合でも 0 ヶ月に短縮する具体的なルートを解説します。

なぜ「1 ヶ月」になったのか

改正前は自己都合退職の給付制限が 3 ヶ月で、待期 7 日と合わせると最初の振込までおよそ 3 ヶ月半。退職金や貯金で持ちこたえられない人は、本来の希望と合わない職に妥協して早めに就職せざるを得ない、というのが恒常化していました。結果として早期離職 → 雇用不安定化 → 雇用保険の総支給額がかえって増える、というループも指摘されていて、3 ヶ月という設定そのものが「労働市場の質を下げているのでは」という議論がここ数年ずっと続いていたわけです。

加えて、少子化と労働人口減少が進むなかで、本人がじっくり次の職を選ぶ環境を整えるほうが長期的にはプラス、という方向に政策の重心が移ってきました。OECD 諸国の中でも給付制限 3 ヶ月は明らかに長い部類で、給付制限のない国や 1〜2 週間で再開する国(ドイツなど)と比べると、改正は国際水準への歩み寄りという側面も持っています。

「自己都合の給付制限を見直すことで、労働者が早期に再就職するインセンティブを保ちつつ、本人の選択肢を確保することを目的とする」(厚生労働省・改正趣旨より要約)

改正後の 3 区分

改正後の給付制限は、退職理由と離職履歴で次のように分かれます。

パターン① 給付制限なし(0 ヶ月) — 退職理由が会社都合(倒産・解雇・退職勧奨)や、契約満了、特定理由離職者(病気・介護・配偶者転勤などのやむを得ない自己都合)に該当する場合は、待期 7 日が明ければそのまま支給対象期間に入ります。さらに、自己都合退職の方でも 教育訓練給付の対象講座を受講開始 すれば、給付制限が 0 ヶ月に解除される運用が続いています。改正後はむしろこのルートの存在感が増していて、後ろの節で詳しく扱います。

パターン② 給付制限 1 ヶ月(改正後の原則) — 通常の自己都合退職に当てはまる方はここ。待期 7 日 + 給付制限 1 ヶ月で計 37 日後から支給対象期間が始まり、認定日のサイクルを踏まえると初回振込は退職からおおむね 2 ヶ月後になります。

パターン③ 給付制限 3 ヶ月(5 年以内に複数回自己都合) — 過去 5 年以内に 2 回以上の自己都合退職を経験している方は、3 ヶ月に戻ります(雇用保険法第 33 条第 1 項ただし書きの規定)。「短期間で繰り返し離職する人には、再就職促進の観点からより長い給付制限を設ける」という設計で、3 回目の自己都合退職時には特に意識しておく必要があります。

教育訓練給付で 0 ヶ月に短縮するルート

実務的にいちばん使えるのが、自己都合退職でも教育訓練給付の対象講座を受講して給付制限を 0 ヶ月にする方法。最大 60 日分(基本手当日額 6,750 円なら約 20 万円)の差になる可能性があり、講座の受講料を払ってでも経済合理性が成立するケースが少なくありません。

Step 1 ── 対象講座を選ぶ

厚生労働省の「教育訓練給付制度 検索システム」で、住んでいる地域と分野から対象講座を検索できます。給付制限解除の対象になる主な分野は、IT 系(プログラミング・データサイエンス・Web デザイン)、簿記・会計・税理士・社労士、宅地建物取引士・FP、看護・介護・保育、語学(TOEIC 対策・通訳)あたり。教育訓練給付には「一般」「特定一般」「専門実践」の 3 区分があり、それぞれ給付率と最大給付額が違いますが、給付制限解除の効果はどの区分でも得られます。自己負担額と給付額のバランスは要確認です。

Step 2 ── 受講開始のタイミングが命

ここがいちばん事故りやすいポイント。要件は

待期満了後、給付制限期間中に教育訓練給付の対象講座を 受講開始 していること

つまりハローワークで求職申込みをして待期 7 日が明け、給付制限の 1 ヶ月が終わるまでに受講を始める必要があります。「申し込んだ」ではなく「受講を開始した」が判定基準。実務上は、求職申込みの前から講座の申込みを進めて、受講料の払込みまで済ませておくのが安全です。理想の流れは「ハローワークで受給資格決定 → その日のうちに講座受講開始」。

Step 3 ── 受講証明書をハローワークに提出

受講を開始したら、講座の実施機関から受講証明書を受け取り、ハローワークに提出します。これで給付制限の解除が確定し、待期 7 日が明けた時点から支給対象期間が始まる扱いになります。

注意 ── 受講料の初期持ち出し

教育訓練給付は、受講修了後に給付率(一般 20 %、特定一般 40 %、専門実践 50〜70 %)に応じて還付される 後払い方式 です。受講料 30 万円の講座なら、初期持ち出しは 30 万円。給付制限解除で得られる効果と、初期持ち出しの負担を必ず比較しておきます。

給付制限解除と他の手続きの関係

教育訓練給付で 0 ヶ月に短縮できても、別途残る制約があります。ここを混同して動くと後で困るので明示しておきます。

再就職手当のハローワーク経由要件 — 給付制限期間中の再就職で再就職手当を受給する場合、待期満了後 1 ヶ月の期間は ハローワーク経由または許可業者経由の紹介 が必要です。給付制限自体は 0 ヶ月に解除されても、この「最初の 1 ヶ月はハロワ・許可業者経由でないと再就職手当の対象外」という条件は残ります。求人サイト経由で内定が出るかもしれない人は、求職申込みから最初の 1 ヶ月の動き方に注意してください。

認定日と求職活動実績 — 給付制限が 0 ヶ月になっても、認定日ごとに 4 週で 2 回以上の求職活動実績は変わらず必要です。教育訓練給付の対象講座を受講しているという事実は、給付制限解除のトリガーであって、求職活動実績そのものとは別カウント。実績は別途、応募やハローワーク職業相談で積み上げる必要があります(求職活動実績の作り方も参照)。

改正前後の比較表

最後に、改正前と改正後の違いをまとめておきます。

項目改正前(2025 年 3 月まで)改正後(2025 年 4 月以降)
自己都合の給付制限3 ヶ月1 ヶ月
5 年内 2 回以上の自己都合3 ヶ月3 ヶ月
教育訓練給付による解除制度あり(解除可)制度継続(解除可)
会社都合・特定理由離職者0 ヶ月0 ヶ月
重大な責による懲戒解雇3 ヶ月3 ヶ月

改正のインパクトは「通常の自己都合退職」の区分にほぼ集中していて、それ以外の区分は変わっていません。逆に言うと、自分の退職が「通常の自己都合」に該当する人にとっては、改正の恩恵がそのまま乗ってくる構造です。

あなたのケースで「いつから受給開始」かを試算する

退職理由・過去 5 年以内の自己都合退職回数・教育訓練給付の利用予定を入れれば、待期と給付制限を踏まえた支給開始日と初回振込のタイミングが計算できます。

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出典・参考

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