2026/05/12 更新

退職前にやることリスト — 失業保険を最大化する 10 の準備

退職を決めた段階で、失業保険を最大化するためにやっておくべき準備が 10 項目あります。被保険者期間の境目チェック、退職時期の調整、離職票の記載依頼、書類の確保、健康保険・年金の手続き準備 ── 退職前の段取りで給付額が数十万円変わります。

退職届を出す前にしかできない準備があります。退職時期を 1 ヶ月ずらすか、診断書を在職中に取っておくか、離職票の理由欄を会社と擦り合わせておくか ── どれも退職後では取り返しがつきません。

ここで段取りを誤ると、受給できたはずの数十万円を失うことがあります。逆に退職を決めた段階から順番に潰していけば、給付額の取りこぼしはほぼ避けられます。

退職届を出す前にやる 10 項目

ざっくりの全体像は下のチェックリストです。各項目の中身は本文で順に解説します。

項目 1:被保険者期間の境目をまたぐ

雇用保険の被保険者期間が 9 年 11 ヶ月、19 年 11 ヶ月のような「境目の手前」にいる人は、あと 1 ヶ月在籍を延ばすだけで給付日数が変わる可能性があります。

期間境目自己都合会社都合(45〜59 歳)
9 年 → 10 年90 → 120 日(+30 日)270 → 330 日(+60 日)
19 年 → 20 年120 → 150 日(+30 日)330 → 330 日(変わらず)

賃金日額 6,750 円なら、+30 日で 20 万円ほどの差。入社年月をまず確認して、退職時期を動かせるなら境目を越えるタイミングを選ぶ価値があります。

項目 2:退職時期と算定基礎期間を整える

賃金日額は退職前 6 ヶ月の総支給額平均で決まります。残業代が多い時期がこの 6 ヶ月に入っているかで、賃金日額そのものが変わります。

月末退職は、その月の賃金が算定対象に含まれやすく、賃金日額が高くなる傾向があります。逆に月初退職だと、その月の賃金が算入されないケースが出てきます。

賞与は賃金日額の算定に 含まれません。6 月・12 月の賞与支給月の前後で退職時期を選んでも、賃金日額そのものには影響しないということです。家計的には、賞与を受け取ってから退職するほうが手元が厚くなります。

項目 3:離職票の離職理由欄を会社と擦り合わせる

離職票-2 の離職理由欄に何と書かれるかで、ハローワークでの認定区分(自己都合・会社都合・特定理由)が決まります。給付制限の有無も給付日数も、ここで決まると言っていいくらい重要な欄です。

退職届を提出する前のタイミングで、会社の人事に「離職票の理由欄をどう書く想定か」を確認しておきます。会社都合や特定理由に該当する事情があるなら、その根拠を会社と共有しておかないと、後で覆すのが大変になります。

  • 通常の自己都合 → 「労働者の都合による離職」
  • 会社都合 → 「事業主の都合による離職」
  • 特定理由(病気・介護・転勤等)→ 該当事由を明記

項目 4:雇用保険被保険者証の所在を確認する

入社時に発行されている雇用保険被保険者証が手元にあるかを確認しておきます。なくしていてもハローワークで即日再発行できますが、退職後に「探す → 再発行 → 提出」の手順を踏むより、在職中に確認しておくほうがスムーズです。

項目 5:給与明細 6 ヶ月分は必ず保管する

退職前 6 ヶ月の給与明細は、離職票の賃金額に異議があった場合の唯一の根拠になります。会社が記載した賃金額と実際の支給額がズレていた、というケースは思った以上に起きます。原本かスキャンを、退職前にまとめて確保しておきます。

項目 6:退職金の優遇課税を取りこぼさない

「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すれば、退職金に退職所得控除と 1/2 課税の優遇が効いて手取りが大きくなります。

この申告書を出さないと、退職金額の 20.42% が源泉徴収で持っていかれます。あとから確定申告で還付されますが、半年〜1 年は手元から消えるので、提出のほうが圧倒的に楽です。

項目 7:退職後の健康保険を 3 択で比較する

退職後の健康保険には選択肢が 3 つあります。

任意継続 — 在職中の健康保険を最長 2 年継続できる。退職日翌日から 20 日以内に申請しないと失効する。 国民健康保険 — 市町村窓口で加入。前年所得ベースで保険料が決まる。 配偶者の扶養に入る — 年収条件などを満たせれば保険料負担なし。

任意継続と国保で保険料がどう違うかは前年所得や扶養人数で逆転します。退職前に両方の保険料を試算して比較するのが現実的です。詳しくは退職後の健康保険記事を参照してください。

項目 8:国民年金の切替と免除制度

退職と同時に厚生年金から国民年金に切り替わります。市町村窓口で手続きが必要です。

失業中で支払いが厳しい場合は、国民年金の 免除制度 を申請する選択肢があります。所得が低い期間として認定されれば、保険料免除でも年金受給資格期間にはカウントされます。

項目 9:住民税の徴収方法が変わる

住民税は前年所得をもとに課税されるため、退職後も支払いは続きます。問題はその払い方が、退職時期によって変わることです。

1〜5 月に退職した場合は、5 月までの残額を最終給与から 一括徴収 されます。6〜12 月に退職した場合は 普通徴収 に切り替わり、市町村から納付書が届くので自分で払うことになります。後者は手元から月々まとまった額が出るので、家計の手当てが必要です。

項目 10:病気・介護による退職なら診断書は在職中に

特定理由離職者として認定を受けたい場合、診断書は 在職中に取得しておく のが鉄則です。

退職してから取りに行くと、「就労困難であった時期」を遡って医師に証明してもらう形になり、ハローワーク側の納得を得にくくなります。在職中、就労継続が困難だったと医師に判断してもらえる時点で診断書を確保しておくのが、特定理由認定の現実的な近道です。

退職届を出してから退職日までにやること

退職届を提出してから実際の退職日までの間にも、押さえておくべきことがあります。

業務の引き継ぎ書類だけでなく、自分の手元に残すべき記録 ── 業務上の連絡先、業務マニュアル、自分の評価記録あたり ── は退職前にまとめておくと、後の転職活動で意外と効きます。

退職証明書(次の会社の入社手続きで求められる)は、退職時に会社へ発行依頼しておきます。後から請求すると返事が遅くなるパターンがあるので、在職中の依頼が確実です。

退職金の入金時期も、退職前に確認しておきましょう。多くの会社は退職から 1〜3 ヶ月後の支給で、想像より遅いケースが多いです。

退職翌日からの動き方

退職してからの最初の 2 週間は、健康保険の切替(任意継続は 20 日以内)と国民年金の切替に集中します。離職票の到着もこの時期です。通常 2 週間程度で届きますが、3 週間を超えても来ないなら会社に催促を入れます。

2 週間〜1 ヶ月では、届いた離職票を持ってハローワークで求職申込み、雇用保険受給説明会への出席、国保軽減措置の申請(該当者)あたりが中心になります。

1 ヶ月〜2 ヶ月になると、待期 7 日が明けて給付制限期間に入ります。第 1 回認定日に向けて求職活動実績を確保していく時期です。教育訓練給付の対象講座を受講すれば給付制限が解除されるので、長期化しそうな人は早めに検討します。

あなたのケースで受給額を試算する

シミュレーターに年齢・退職理由・加入年数・賃金を入力すると、給付日数と受給総額の試算が出ます。退職時期の調整で給付日数の境目を越えられるか、賃金日額がどう動くか、入力値を変えながら比較するのが実用的です。

シミュレーターで受給額を試算する →

出典・参考

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