「自分は失業保険の対象外だった」「被保険者期間が足りない」「個人事業主だった」── 失業保険を受給できない方向けの公的救済制度として 求職者支援制度 があります。
月10万円の給付金 + 無料の職業訓練 + 通所手当 という、失業保険に近い手厚さの制度です。この記事で要件と申請方法を整理します。
求職者支援制度とは
制度の目的
雇用保険の対象外の方(個人事業主・短期雇用者・専業主婦復帰等)に、職業訓練を通じた再就職支援を提供する公的制度。
主体
- 厚生労働省(国)
- ハローワークが窓口
- 民間訓練機関に訓練を委託
給付内容
職業訓練受講給付金
- 月額: 10万円
- 受給期間: 訓練期間中
- 訓練修了で支給終了
通所手当
- 訓練校までの通学定期券代等の実費
- 月額上限: 42,500円
寄宿手当
- 訓練校近くに転居して受講する場合
- 月額: 10,700円
訓練費
- 受講料: 無料
- テキスト・教材費は自己負担(数千〜数万円)
受給要件
3つの要件を すべて満たす 必要があります。
要件①: 雇用保険の対象外
- 雇用保険の被保険者でない
- 雇用保険の受給資格を持たない(または受給期間が終了している)
要件②: ハローワークで求職申込み
- 住所地を管轄するハローワークで求職申込み
- 労働の意思と能力がある
要件③: 所得・資産要件
| 項目 | 上限 |
|---|---|
| 本人月収 | 8万円以下 |
| 世帯月収 | 25万円以下 |
| 全資産 | 300万円以下 |
このうち最も厳しいのが「全資産300万円以下」。預金・株式・不動産(自宅除く)を合わせた額が判定対象です。
訓練の種類
基礎コース
- 基本的なPCスキル・ビジネスマナー
- 期間: 2〜4ヶ月
実践コース
- 実務に直結する専門技能
- 期間: 3〜6ヶ月
主な訓練分野
| 分野 | 訓練科例 |
|---|---|
| IT | Webデザイン・プログラミング・データ分析 |
| 医療事務 | 医療事務・調剤事務 |
| 経理・会計 | 簿記・経理事務 |
| 介護 | 介護職員初任者研修 |
| 営業・販売 | 販売・接客 |
| 製造 | CAD・機械加工 |
申請の手順
ステップ1: ハローワークで求職申込み
通常の求職申込みと同じ手続き。求人を出してもらわなくても申込みは可能。
ステップ2: 求職者支援制度の対象判定
- 雇用保険対象外であることの確認
- 所得・資産要件の判定(書類提出)
ステップ3: 訓練校の選定
- 希望分野の訓練校を選ぶ
- 訓練校での選考(書類・面接)
ステップ4: 受講申込み
- 訓練開始日が確定
- ハローワークで「受講指示」を受領
ステップ5: 訓練受講開始 + 給付金受給
- 月10万円の給付金が口座振込
- 訓練修了まで継続支給
必要書類
申請時の書類
- 求職申込書
- 受講申込書
- 本人収入の証明(給与明細・源泉徴収票等)
- 世帯収入の証明(住民票・税の証明書等)
- 預金通帳の写し(資産確認)
- マイナンバーカード
訓練中の書類
- 訓練校への出席簿
- ハローワークへの定期出頭
出席要件
訓練期間中の 出席率80%以上 が継続受給の条件。病気等で欠席する場合は事前にハローワーク・訓練校に連絡。
訓練修了後の就職支援
ハローワークの就職支援
- 訓練修了者向けの専任アドバイザー
- 訓練校の修了者を積極採用する企業との橋渡し
- 履歴書・面接対策
修了者の就職率
訓練科により異なりますが、概ね 70〜85% が3ヶ月以内に就職している統計があります。
失業保険との比較
| 項目 | 失業保険 | 求職者支援制度 |
|---|---|---|
| 受給資格 | 雇用保険被保険者期間 | 雇用保険対象外 |
| 月額 | 賃金日額 × 給付率 | 10万円定額 |
| 期間 | 90〜360日 | 訓練期間(最大6ヶ月) |
| 通所手当 | 訓練受講時のみ | あり |
| 給付制限 | 自己都合は1ヶ月 | なし |
失業保険の方が金額面で手厚いですが、対象外の方には求職者支援制度が有力な救済策です。
計算例:個人事業主廃業のYさん(35歳・所持資産250万円)
5年間の個人事業主活動後、廃業し求職活動するケース。
求職者支援制度の利用
- 6ヶ月の訓練受講
- 給付金: 10万円 × 6ヶ月 = 60万円
- 通所手当: 月20,000円 × 6ヶ月 = 12万円
- 訓練費: 無料
- 総額: 72万円 + 専門技能の取得
訓練修了後は通常の求職活動 + ハローワークの就職支援で再就職。
利用上の注意点
注意①: 出席率の維持
訓練期間中の出席率80%は厳格に管理。病気等で長期欠席する場合は受給停止のリスク。
注意②: 訓練修了の要件
訓練を最後まで修了することが受給継続の前提。中途退学は給付停止。
注意③: 所得・資産要件の再判定
訓練期間中も所得・資産の要件を満たし続ける必要あり。配偶者の収入変動等で要件外になる場合は受給停止。
あなたの利用可能性を確認
雇用保険歴・所得・資産を入れると、利用可能な訓練分野と給付額が確認できます。
出典・参考
最終更新: 2026年5月6日 改訂履歴: 2026/05/07 — 初版公開