2026/05/12 更新

パート・契約社員1年未満で離職した場合の失業保険の受給可否

パート・アルバイト・契約社員でも雇用保険の対象(週20時間以上+31日以上の雇用見込み)。1年未満で離職した場合の受給可否は、退職理由によって変わります。自己都合・会社都合・特定理由離職者ごとの判定、月8万円勤務の試算、過去の被保険者期間との通算ルールを整理しました。

「2 年もパートで働いたのに、月の出勤日数が少ないから失業保険はゼロって言われた」「契約社員で半年で契約終了、12 ヶ月足りないって本当に対象外なの?」── パート・契約社員の働き方は、正社員向けに作られたわかりやすい説明だけだと取りこぼす論点が多く、こうした疑問にぶつかる人は珍しくありません。

雇用保険の被保険者は正社員だけの制度ではなく、週 20 時間以上 + 31 日以上の雇用見込みがあればパート・アルバイト・契約社員も対象です。ただし「被保険者期間 1 ヶ月」のカウント方法、1 年未満退職の取り扱い、過去の被保険者期間との通算── 判定のロジックが正社員より一段複雑になるため、結果を見るまで「もらえるか・もらえないか」が分かりにくい、というのが実態です。

被保険者になる要件

雇用保険の被保険者になるためのハードルは、正社員でもパートでも同じ 3 条件です。

31 日以上の雇用見込みがある、週の所定労働時間が 20 時間以上ある、学生でない(昼間学生は原則対象外、夜間・通信制は例外あり)── この 3 つを満たせば被保険者です。例えば週 3 日 × 1 日 7 時間(週 21 時間)のパートは対象になりますが、週 2 日 × 1 日 6 時間(週 12 時間)のパートは時間要件を満たさず対象外になります。

自分が被保険者になっているかは、給与明細の雇用保険料の天引き、入社時に会社から発行される 雇用保険被保険者証、ハローワーク窓口での 被保険者資格取得照会で確認できます。会社が手続きを忘れているケースが稀にあるので、心当たりがあれば最初に確認しておくと安心です。

「被保険者期間 1 ヶ月」のカウント

ここがパート特有の落とし穴。雇用保険でいう「被保険者期間 1 ヶ月」は、暦の上で 1 ヶ月在籍しただけではカウントされず、賃金支払基礎日数 11 日以上の月、または 賃金支払基礎時間 80 時間以上の月でないと 1 ヶ月として算入されません。

例えば月 9 日勤務の場合、賃金支払基礎日数は 9 日でカウント外。ただし 1 日 10 時間 × 9 日= 90 時間あれば、時間ベースの救済(80 時間以上)でカウントされます。逆に 1 日 8 時間 × 9 日= 72 時間だと、日数も時間も足りずに その月は被保険者期間に算入されません

週 5 日 × 1 日 6 時間(週 30 時間)の通常のフルタイムパートであれば、月 20 日前後の出勤で基礎日数 11 日以上を確実に満たすので、ここはほぼ問題になりません。引っかかるのは「月数日だけのシフト勤務」「短時間 × 少日数」のパートで、複数月にわたって出勤が薄い人ほど、自分が思っている被保険者期間と実際の月数が食い違いやすくなります。

1 年未満で離職した場合の受給可否

退職理由によって、必要な被保険者期間がそもそも違います。

自己都合で離職 — 必要被保険者期間は 離職前 2 年間に通算 12 ヶ月以上。1 年未満では原則として受給資格なしです。救済策は、過去 2 年以内の他社勤務分との通算(後述)。

会社都合(特定受給資格者) — 必要被保険者期間は 離職前 1 年間に通算 6 ヶ月以上。6 ヶ月以上 1 年未満でも受給資格があります。倒産・解雇・有期契約の更新拒絶などが該当。

特定理由離職者(契約満了等) — 会社都合と同じく 離職前 1 年間に通算 6 ヶ月以上。契約社員の契約満了は、本人が更新を希望していて会社が更新しなかったケースが該当しやすいです。

つまり、契約社員で「半年で契約終了」と言われた場合でも、契約満了が特定理由離職者に該当すれば、6 ヶ月で受給資格に届く可能性が十分にあります。「12 ヶ月ないからダメ」と早合点せず、退職理由の整理が先です。

過去の被保険者期間との通算

「現職 1 年未満で自己都合退職」のケースでも、過去の被保険者期間との通算で資格が出ることがあります。条件は、過去の被保険者期間が直近 2 年間(自己都合)または 1 年間(会社都合・特定理由)の中に存在し、かつ 過去に基本手当を受給していない(または受給資格決定をしていない)こと。

例えば、2024 年に会社 A(正社員)を 3 年勤めて自己都合退職し、失業保険を受給せずに転職、2025 年に会社 B(パート)を 11 ヶ月で自己都合退職、というケース。通算被保険者期間は 3 年 11 ヶ月で、会社 A 退職から離職票交付までの期間が 2 年以内に収まれば、合算で 12 ヶ月以上の要件を満たして受給資格が発生します。「前職の分はもう関係ない」と思って捨てがちですが、雇用保険被保険者証は基本的に同じ番号で持ち越されるので、捨てずに取っておくのが正解です。

詳しくは 失業保険を一度もらうとどうなる?の記事 で扱っています。

計算例:パート月 8 万円・週 20 時間・1 年勤続

数字で見るとイメージしやすいので、月収 8 万円のパートの試算を 2 ケース並べます。

ケース A:1 年勤続で自己都合退職

項目
月収80,000 円
賃金日額2,667 円(8 万円 × 6 ÷ 180)
適用される賃金日額3,014 円(下限額)
基本手当日額2,411 円(下限額)
所定給付日数90 日(1 〜 10 年・自己都合)
給付制限1 ヶ月
総受給額216,990 円

計算上の賃金日額が下限を下回るので、年齢区分の 下限額 3,014 円が適用され、基本手当日額も下限の 2,411 円で固定されます。月収が低くても下限額に救われる設計です。

ケース B:契約満了で 10 ヶ月の特定理由離職者

項目
月収80,000 円
基本手当日額2,411 円(下限額)
所定給付日数90 日(30 歳未満・1 年未満・特定理由)
給付制限なし
総受給額216,990 円

総額はケース A と同じですが、給付制限がないぶん支給開始が 1 ヶ月早くなり、退職から振込までの空白期間が短くなります。生活防衛資金を多めに用意できない人にとっては、この 1 ヶ月の差が地味に効きます。

パート特有の論点

短時間労働者の特例 — 週の所定労働時間が 30 時間未満の 短時間就労者には、賃金日額の下限額計算で特例があります。算出された賃金日額が低くても、年齢区分の下限額(3,014 円)まで引き上げられる設計で、極端に低い基本手当になることを防いでくれます。

被保険者期間が長期にわたる場合 — 正社員時代の被保険者期間がある人は、パート時代と通算できます。「正社員 5 年 → 退職 → 専業期間 5 年 → パート復帰 3 年」のようなケースでは、専業期間で被保険者期間は中断しますが、過去の被保険者期間が完全に消えるわけではなく、最後の離職から 2 年以内であれば通算可能。離職票や雇用保険被保険者証を捨てずに取っておく価値は、ここにも出てきます。

育児・介護のためのパート短時間化 — 正社員から育児・介護を理由にパート短時間化した人が離職する場合、特定理由離職者(やむを得ない事由)として認定される余地があります。詳しくは 特定理由離職者の認定基準 を参照してください。

「被保険者でなかった」と分かったとき

ごくたまに、本来加入対象なのに会社が雇用保険手続きを怠っていたケースがあります。確認は、ハローワーク窓口での 被保険者資格取得状況の照会と、過去の給与明細での 雇用保険料天引きの有無で取れます。

手続きを怠っていたことが判明した場合、過去 2 年間まで遡及加入できる場合があります。流れとしてはハローワークに 被保険者資格確認請求を提出し、会社所在地の労働基準監督署で調査が入り、認定後に過去 2 年分の保険料を会社と本人で按分して納付、被保険者資格を取得、という順序。時間はかかりますが、認められれば被保険者期間として算入され、受給資格に届く可能性が出てきます。

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