60歳定年制の会社では、定年後に 嘱託契約 で継続雇用されるケースが一般的です。65歳の継続雇用満了で離職する場合の失業保険を整理します。
60歳以降の雇用保険の枠組み
60〜64歳: 通常の被保険者
- 雇用保険料は通常通り天引き
- 離職時は基本手当(特定理由離職者として認定可)
- 賃金日額の年齢区分上限: 16,940円
- 基本手当日額の上限: 7,623円
65歳以降: 高年齢被保険者
- 65歳以降の雇用保険料は本人・事業主の双方負担
- 離職時は高年齢求職者給付金(30日 or 50日の一時金)
- 老齢年金との併給可能
詳しくは高年齢求職者給付金の完全ガイドを参照してください。
継続雇用満了の認定
特定理由離職者として認定
60歳定年後の継続雇用契約が満了して離職した場合、契約期間満了として 特定理由離職者 に該当します。
給付の優遇
- 給付制限なし
- 必要被保険者期間6ヶ月以上で資格発生
- 給付日数も会社都合と同等
60〜64歳の所定給付日数
| 被保険者期間 | 所定給付日数(特定理由離職者) |
|---|---|
| 1年未満 | 150日 |
| 1〜5年未満 | 180日 |
| 5〜10年未満 | 210日 |
| 10〜20年未満 | 240日 |
計算例:60歳定年後5年継続雇用→65歳満了のVさん
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 定年前月収 | 50万円 |
| 継続雇用後月収 | 30万円(4割減額) |
| 継続雇用5年後の賃金日額 | 10,000円 |
| 給付率 | 約60%(60〜64歳区分) |
| 基本手当日額 | 6,000円 |
| 所定給付日数 | 180日(1〜5年・特定理由)or 210日(5〜10年・特定理由) |
65歳到達直前で離職した場合
- 基本手当: 6,000円 × 210日 = 1,260,000円
65歳到達後で離職した場合
- 高年齢求職者給付金: 6,000円 × 50日 = 300,000円
- 老齢年金は併給可能
差額 約96万円。ただし65歳以降は年金併給で別の収入源があるため、個別の年金額を含めた総合判断が必要。
高年齢雇用継続給付(在職中の補填)
定年後の継続雇用で 賃金が25%以上低下 した方は、雇用保険から 高年齢雇用継続給付 を受給できます。
制度の概要
- 対象: 60〜64歳で雇用継続中の方
- 賃金低下率に応じて、月の賃金の 最大15% を給付
- 65歳到達月まで継続
計算例
定年前60万円 → 継続雇用後40万円のWさんの場合:
- 賃金低下率: 33.3%
- 高年齢雇用継続給付率: 約10%
- 給付額: 40万円 × 10% = 40,000円/月
- 5年(60ヶ月)の総額: 240万円
定年後の手取り目減りを補填する大きな制度です。
退職時期の最適化
定年後の退職時期を選べる場合の判断軸。
①: 65歳直前 vs 直後
- 65歳到達直前: 基本手当の手厚い受給
- 65歳到達後: 高年齢求職者給付金 + 年金併給
年金月額が高い方は65歳到達後が有利、年金月額が低い方は65歳到達前が有利、というのが大まかな傾向です。
②: 5年勤続境目
5〜10年区分(210日)と1〜5年区分(180日)の境目で30日分の差。継続雇用5年到達直前の方は、1ヶ月延長の検討余地あり。
③: 賃金日額の高い時期
継続雇用中は徐々に賃金が下がる傾向があります。賃金日額が高いうちに退職する方が基本手当日額も高くなる傾向。
あなたのケースで最適退職時期を試算
定年予定日・継続雇用期間・賃金変動・年金見込みを入れると、退職時期別の総受給額が比較できます。
出典・参考
最終更新: 2026年5月6日 改訂履歴: 2026/05/02 — 初版公開